昨夜、私は激痛で目覚めた。
夢ではない。
現実。
ふくらはぎの筋肉が、じわじわと収縮していく。
あの嫌な予兆。
「あ、来る」
この“来る”は宅配便ではない。
地獄の配達。
このままでは、あの激痛が走る。
私は咄嗟につま先を掴み、アキレス腱を引っ張る。
伸ばせ、伸びろ、頼む。
しかし筋肉は言うことを聞かない。
「今日は俺のターンだ。」
徐々に、確実に、固まっていく。
もうだめだ。
一線を越えた。
その瞬間――
悶絶。
声にならない悲鳴。
「あ゛ーーーーー!!」
夜中の静寂を切り裂く中年の絶叫。
近所の人が聞いたら事件性を疑うレベル。
この症状の名は「こむら返り」。
なんだその、ちょっと可愛い響き。
実態は完全に拷問。
名前だけ聞くと、柔道の技みたい。
「決まったー!こむら返り一本!」
ふざけるな。
なぜ俺なんだ。
何も悪いことしていない。
ただ寝ていただけだ。
布団の中で、
足を押さえ、のたうち回る私。
外から見れば完全にホラー。
家族に見られなくてよかった。
いや、見られても笑われるだけか。
ようやく痛みが引いた頃には、
全身汗だく。
深夜の一人サウナ。
時計を見る。
午前3時。
あと数時間で仕事。
ふくらはぎはまだピクピクしている。
「また来るぞ…」という余韻。
結局その後、私は眠れないまま朝を迎えた。
そして思う。
若い頃はこんなことなかった。
これが加齢か。
筋肉よ、なぜ寝込みを襲う。
正々堂々、昼間に来い。
いや、やっぱり来るな。
